ようやく手をつけることにした。

下記に登場するＩ君からの強いリクエストによるものである。

写真データ等は、デジカメ画像が存在しないのでボチボチとスキャナ読み込みを実行していこうと思う。

あしからず。

＜赤倉チャンピオンコース＞

スキーをされる人ならば、新潟県赤倉スキー場を御存知だろう。

非常に歴史もあるスキー場であり、昔から国体等の大会も開催されてきた由緒ある所である。

大学４年になろうとする春休み、Ｉ君（新潟県出身で一流のスキーヤー）を含めて友人と赤倉に行った。

そこで一番上から一番下まで、チャピオンゲレンデをバトルすることになった。

このゲレンデには、緩急そろったコースが展開されており、上部にはチャンピオンBコースなど滑りを

堪能出来る名物バーンが控えている。

ざっと概要を説明すると、まずリフト４本（第１、第３、第５、第６）を乗り継いでスタート地点を目指す。

最後の第６には乗る人もまばらだったし、周囲の雰囲気もいやおうがなしに気分を高めてくれた。

頂上からは、リフトに沿う形でチャンピオン第６コース、チャンピオン第５コースと滑りおりた。

ここまでは「中級」コースと定義付けられていた。

そしてここからはチャンピオンBコースに突入。ここは赤倉を代表する名物コースであり、国体を始め

各種大会等の舞台になる所だった。（実はこれは後で知る事に…）

ここを下りきると後はチャンピオン第２、第１となだらかなロングヒルになる。

さて、新潟代表ｖｓ長野代表のバトルスタート！

チャンピオン第６は距離は短いが、ブナ林を縫うマニアックなコース。

いわゆる幅の狭いコブが連続する斜面。

ここでは速度はのらず、とにかくコブに飛ばされないよう注意してこなしてくのが精一杯。

対し先行するＩ君は快調そのもの。軽やかに降りていく。

そしてチャンピオン第５ゲレンデへ突入。

ここは上質のパウダースノーを楽しめる中級コースと言ううたい文句。

その説明通り、まあまあの斜度で滑り易いコースで、私は遅れを取り戻すべく一気に滑降態勢へ。

良い具合に速度も乗り、さて次のコーナーだ、と思った瞬間何を思ったかＩ君はいきなり速度を緩めた…。

ほほう、（自称体力がない）Ｉ君のこと、もうリタイヤかと思い「情けは無用」とばかりに、

そこで出せるほぼ最高速で次のコーナーに突っ込んだ…。

が、私の視界に入ってきたのは、いや、正確には一瞬何も見えなくなった。

そうです、ここが赤倉を代表する名物コース「チャンピオンBコース」だったのだ。

斜度までは覚えていないが、とにかく目の前から雪面が消えた。

コースを熟知して事前にその態勢に入っていたとしても尻込みしてしまうコースに

何の準備もなく最高速で飛び込んだからたまらない。

豪快にジャンプしたあげく、大きなコブの頂上に着地、何とか態勢を立て直して停止を試みたが全くの無駄。

思い切り撥ね飛ばされて斜面に叩きつけられる結果に。

しかしここで力んだら大怪我するな、と一瞬考えてなすがままにした。

ただ、そのままだと一番下まで落ちそうだったのでとりあえず両手は雪面を掴んで精一杯ブレーキをかけた。

何十メートルか、うつ伏せのまま足を下にバンザイした形で滑って何とか停止。

スキーは遥か上に片方、もう片方は下の方に停まっていた。

と、その時上の方からＩ君が

「おー〜い、大丈夫かぁ〜」

と。そのまま上の方にあったスキーを持ってきてくれた。

もう片方も装着しおなして

「なんだよ、こんな風になっているなんて知らないよ。」

「ゴメン、知っているとばかり思ってた。随分果敢に行くなあ、と思ってみてたんだよ。

 でも、転び方が心配なかったので停まれば大丈夫だと思って見てた…。」

もはや何を言っても始まらない。

ま、その後は気を取り直して一番下まで滑り降りた。

このチャンピオンBコース。

国体等の大会では斜面をならして滑降コース用に仕立てるのだそうで、（特にイベントがない）この時は

自然コブのまま。おそらくあの状態のところにそのままの速度で突っ込む猛者（無法者）は後にも先にも

私だけだっただろう。

ちなみにこのＩ君。その後は海外でシカゴのビジネススクールに行った時、遠路シンシナチから会いに来て

くれたＩ君なのだ。